法定相続人とは?遺産相続でもめやすいケースについて

法定相続人

 

○誰が遺産を相続するのか?

親族が亡くなった場合、その時点から相続が始まります。その際、誰が亡くなった人の遺産を引き継ぐことになるのでしょうか?

 

1.法定相続人とは

人が亡くなると、法律上はその瞬間から相続が開始されます。この相続によって亡くなった人(被相続人といいます。)が残した遺産が他の人に引き継がれることになるわけですが、誰が遺産を引き継ぐ権利を有するのか、つまり誰が相続人になるかについては民法で定められています。

この民法の定めによって相続人となる人を、「法定相続人」と呼びます。

法定相続人が1人だけの場合には、被相続人の遺産はすべてその人が引き継ぐことになりますが、法定相続人が複数いる場合には、遺言が遺されていない限りは、法定相続人が協議をして具体的に遺産をどのように分割するかを決めることになります(遺産分割協議)。

したがって、相続に当たって第一にすべきことは、誰が法定相続人になるのかを確定することだということになります。

 

2.法定相続人の確定方法

先ほど述べたとおり、誰が法定相続人になるかについては民法が定めており、法定相続人となる資格を持つのは、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹の4種類とされています。

(1) 配偶者

まず、必ず相続人になるのが配偶者(残された妻または夫)です(民法890条)。もちろん、配偶者がすでに亡くなっている場合は相続人にはなりませんが、被相続人に子や親兄弟がいても、配偶者は生存している限り必ず相続人になります。

なお、当然ですが、前夫・前妻など、死亡時にすでに離婚しているかつての配偶者は法定相続人にはなりません。

(2) 第一順位の相続人

被相続人に子がいる場合には、配偶者とともに相続人になります(民法887条1項)。

この場合には、配偶者と子の相続の割合(法定相続分といいます。)は、2分の1ずつになります(民法900条1号)。

そして、子が複数いる場合にはこの2分の1を子の頭数で割ったものが子一人分の法定相続分になります(民法900条4号本文)。例えば、子が4人いる場合には、子1人あたりの法定相続分は2分の1×4分の1=8分の1になります。

(3) 第二順位の相続人

被相続人に子がない場合には、配偶者とともに直系尊属が相続人となります(民法889条1項1号)。

直系尊属とは、被相続人の親、祖父母などのことです。

この場合には、配偶者と直系尊属の法定相続分は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1になります(民法900条2号)。

なお、被相続人の両親いずれもが健在の場合には、子が複数いる場合と同様に、3分の1×2分の1(=6分の1)が父母それぞれの法定相続分になります(民法900条4号本文)。

(4) 第三順位の相続人

被相続人に子がおらず、直系尊属もすでに亡くなっている場合には、配偶者とともに被相続人の兄弟姉妹が相続人となります(民法889条1項2号)。

この場合の配偶者と兄弟姉妹の法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1で(民法900条3号)、兄弟姉妹が複数いる場合には、子や直系尊属の場合と同様に頭割りということになります(民法900条4号本文)。

 

3.相続人が問題となりやすいケース

法定相続人の確定の仕方は前項に説明したとおりですが、法定相続人になるのかどうかが問題となりやすい、迷いやすい幾つかのケースについて以下に説明しておきましょう。

(1) 養子・養親

子が第一順位の法定相続人であることは先ほど説明したとおりですが、この「子」には、実の子だけでなく養子も含まれます。したがって、養子縁組をして養子となっている人は、実の親と養親の両方の法定相続人となる資格があることになります(※普通養子縁組の場合)。

また、被相続人の親は第二順位の法定相続人になりますが、この「親」も、実の親だけでなく養親も含みます。

(2) 先に子が亡くなっている場合

被相続人の子が被相続人よりも先に亡くなっている場合には、被相続人の死亡時に子がいないのだから、被相続人の直系尊属か兄弟姉妹が法定相続人になると考えがちです。

しかし、亡くなった子に子がいる場合(被相続人からすると孫がいる場合)には、亡くなった子に代わって孫が法定相続人となります(民法887条2項)。これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。

ちなみに、被相続人の子も孫も被相続人よりも先に亡くなっていた場合には、ひ孫が代襲相続し、それ以下も同様です(再代襲、再々代襲)。

(3) 先に兄弟姉妹が亡くなっている場合

被相続人に子がなく直系尊属も亡くなっている場合で、兄弟姉妹が被相続人よりも先に亡くなっているときにも、子が先に亡くなった時と同様に代襲相続が起こります(民法889条2項)。したがって、兄弟姉妹に子(被相続人から見て甥・姪にあたる)がいれば、兄弟姉妹に代わって法定相続人になります。

注意すべきは、兄弟姉妹の場合には、子の場合と違って再代襲、再々代襲は認められないということです。兄弟姉妹の子が先に亡くなっていたら、さらに子がいても法定相続人にはなりません。

(4) 連れ子

被相続人の妻の前夫との間の子などを「連れ子」などと言いますが、この連れ子は「子」として法定相続人になるのでしょうか?

結論から言うと、被相続人と連れ子が養子縁組をしていた場合には養子として法定相続人になりますが、養子縁組をしていなかった場合には法定相続人にはなりません。

もともと連れ子と被相続人とは何の血縁関係もありませんので、そのままでは法律的には被相続人の「子」とは扱われません。養子縁組をして養親・養子の関係になって初めて法律的に「子」として扱われることになるのです。

(5) 認知している子、認知していない子

被相続人が妻以外の女性との間に子をもうけ(いわゆる婚外子)、その子を認知していた場合には、子は被相続人の法定相続人となります。逆に、認知していなかった場合には法定相続人とはなりません。

婚外子は認知によって初めて父との法律的な親子関係が生じます。認知がなければ法律的には親子関係には立たず、法定相続人ともなりません。

ただし、被相続人の死後3年以内であれば、子は認知の訴えを提起して認知を受けることができますので(「死後認知」と言います)、その場合には法定相続人となります。もし認知の判決を受けた時点ですでに被相続人の遺産分割が終了していても、他の法定相続人に自らの法定相続分にあたる金額の支払いを請求することができます。

なお、以前は婚姻関係にある父母から出生した子(嫡出子)と婚外子(非嫡出子)の法定相続分には差があり、非嫡出子は嫡出子の2分の1の法定相続分しか認められていませんでした。

しかし、平成25年に民法が改正されて嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同等とされましたので、現在ではこの差はなくなっています。

(6) 胎児

妻が妊娠中に被相続人が亡くなった場合、その後生まれた子は法定相続人になるのでしょうか?

民法3条1項は、「私権の享有は出生に始まる。」としています。したがって、被相続人が死亡して相続が始まった時点では、生まれていない胎児には権利能力がないことになります。しかし、かなりの確率で無事に生まれてくるであろう胎児を相続から除外するのは妥当とは言えません。

そのため民法は、相続については、胎児はすでに生まれたものとみなし、法定相続人と扱うことにしています(民法886条1項)。ただし、死産であったときは原則に戻って法定相続人としては扱われません(民法886条2項)。

(7) 嫁・婿

被相続人の子の配偶者(いわゆる嫁や婿)は法定相続人にはなりません。嫁や婿は被相続人とは血縁関係はありませんからこのことは当然です。

ただし、被相続人と嫁や婿が養子縁組をしていた場合には、嫁・婿は養子として法定相続人になります。

 

4.まとめ

法定相続人が誰になるかを確定して初めて遺産をどう分割するかの協議をすることができます。遺産分割協議は、法定相続人全員によって行われる必要があります。

被相続人が婚外子をこっそり認知していたなど、家族が知らない法定相続人が存在していたということも実際ありますので、相続が始まったら被相続人の出生後の戸籍謄本をすべて取り寄せ、法定相続人を確定する作業を行いましょう。この作業は場合によっては大変手間と時間が掛かりますので(例えば被相続人の本籍地が転々と変わっていた場合など)、弁護士に依頼することも検討するとよいです。

 

5.遺産相続問題は、田中法律事務所

広島県広島市にある田中法律事務所は、地元で30年以上の実績があり、遺産相続問題についても多数取り扱って参りました。広島市だけでなく、呉市、廿日市市、東広島市、三次市、福山市など、広く広島県からお問い合わせ・ご相談をお受けしております。

遺産相続問題は、故人が亡くなって心痛い時期でありながら、期限付きの手続も多く、上述のように相続人の特定だけでも骨が折れることがありますので、遺産相続が開始して、お困りの方は、当事務所までお問い合わせください。

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